以前の記事で、良い借金とは返せる借金であり、返せる借金とは返し方がしっかり決めている借金という話をしました。
この記事では、会社全体として適正な借金の額(=返せる借金の額)について書いていきます。
「返す借金」=「会社全体の借金」−「運転資金」
適正な借金の額を知るためには「返す借金」がいくらかを把握する必要ががあります。
ポイントは「会社全体の借金」≠「返す借金」ということです。
「返す借金」は次の式により計算されます。
「返す借金」=「会社全体の借金」−「運転資金」
「会社全体の借金」ではなく「返す借金」が返せる借金かどうかで、会社として適正な借金かどうかが決まります。
「運転資金」は「返す借金」に含まれない?
「運転資金」とは?
先ほど「返す借金」の算式を、下記のように説明しました。
「返す借金」=「会社全体の借金」−「運転資金」
「運転資金」とは下記の算式で表されます。
「運転資金」=「売掛債権」+「棚卸資産」−「買掛債務」
運転資金を具体的な例で説明します。
80円の商品を仕入れて、100円で売る商売で考えます。
80円の商品を現金で買うと、棚卸資産に80円が計上されます。
この状態での運転資金は、
「売掛債権」0円+「棚卸資産」80円−「買掛債務」0円=「運転資金」80円
となります。
ちなみに商品の仕入を掛けで行った場合は、
「売掛債権」0円+「棚卸資産」80円−「買掛債務」80円=「運転資金」0円
となります。
「返す借金」に「運転資金」が含まれない理由
運転資金は「返す借金」には含みません。
運転資金は、
商売をやめるときにお金になるものであり、そのお金を原資に借金を返すことができるからです。
先ほどの例、80円の商品を現金で買うと、
「売掛債権」0円+「棚卸資産」80円−「買掛債務」0円=「運転資金」80円
の状態です。
いま商売をやめたとすると、棚卸資産80円が残りますが、これは仕入の値段であり、一般的にはこの値段で売却することが可能です。
そのため、棚卸資産80円は現金80円となります。
「会社全体の借金」が300円で「運転資金」が80円であれば、運転資金80円は商売をやめるときには返済出来るため、実際に「返す借金」は300円−80円=220円と計算出来ます。
差引く「運転資金」は調整が必要
「返す借金」=「会社全体の借金」−「運転資金」
という説明をしましたが、差引く「運転資金」については調整が必要です。
運転資金を返す借金に含めないという前提には、運転資金は商売をやめるときにはお金になることがあります。
つまり、商売をやめるときにお金にならない運転資金は、返す借金に含める必要があります。
先ほどの例、80円の商品を現金で買うと、「売掛債権」0円+「棚卸資産」80円−「買掛債務」0円=「運転資金」80円の状態です。
このとき棚卸資産の価値が下落して、80円→10円となった場合、貸借対照表で計算した「運転資金」が80円だとしても、「返す借金」から差引く「運転資金」は10円です。
なぜなら商売をやめたとき、お金になるのは80円ではなく10円だからです。
「返す借金」と「1年間の収益」を比べる
「返す借金」が計算出来たら、「返す借金」と「1年間の収益」を比べてみます。
「返す借金」÷「1年間の収益」=「借金を返す年数」となります。
「借金を返す年数」は少ないほど良いですが、長くても10年以内に収められる程度の「返す借金」にコントロールしましょう。
この10年以内というのも会社の状況によってまちまちです。
前提としては、10年間現状の業績を維持できることなので、これを7年や5年として適正な借金の額を計算することも必要です。
一方で、
「うちの会社は30年安泰だ、だから収益30年分の借金しても大丈夫」
という考えはおすすめ出来ません。
現状の業績を維持することを前提とすれば、一般的には長くても10年が上限かと思いますし、収益10年超分の借金の額は適正とは言えません。
まとめ
この記事では会社全体の借金の適正な額について説明しました。
- 「返す借金」=「会社全体の借金」−「運転資金」
「返す借金」の額の把握を行う - 「運転資金」は「返す借金」ではない?
運転資金は商売をやめたときにお金になる - 「返す借金」と「1年間の収益」を比べる
10年分の収益に返す借金が収まることが目安
借金をする都度、返し方をしっかりと決めて良い借金としても、会社全体としての借金が適正な額、つまり返せる借金かどうかを確認することが必要です。

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